仕事や家事、育児に追われる毎日で、なかなか運動習慣を身につけられないと感じている方は多いのではないでしょうか。特にデスクワークやスマートフォンの長時間使用などにより、肩こりや腰痛、猫背など姿勢の乱れに悩む女性が増えています。こうした不調を根本から見直す方法として注目されているのが、ピラティスです。
ピラティスでは、体幹を支えるインナーマッスルを鍛えつつ、骨格や関節を正しい位置に導くことで、姿勢改善やボディラインの引き締めをめざします。さらに呼吸を大切にするため、心のリラックスや睡眠の質向上、ストレス軽減といったプラスの効果も期待できるでしょう。
しかし、いざピラティスを始めようと思って検索してみると、「マシンピラティス」と「マットピラティス」があることが分かります。どちらが自分に合っているか、どうやって選べばいいのか、という疑問が浮かぶのではないでしょうか。本記事では、両者の特徴や費用、通いやすさ、そして初心者が始める際に押さえておきたいポイントを丁寧に解説いたします。
マシンピラティスの特徴
「ピラティス=マットの上で行う」というイメージがある方も多いかもしれませんが、実際にはマシンを使って行うスタイルも存在します。マシンピラティスは、リフォーマーやキャデラックなど、専用の器具を活用してエクササイズを行う点が最大の特徴です。
マシンを使うメリット
少人数レッスンが多く、フォーム修正を受けやすい
マシンピラティスでは、レッスンが少人数もしくはプライベート形式で行われることが多く、インストラクターが一人ひとりの動きを細かくチェックしながら指導してくれます。マシン自体が身体の動きをガイドしてくれる部分もあり、動作が間違った方向に行きづらいのがメリットです。
特に初心者の方は「正しく動けているのか分からない」「腰に負担をかけていないか心配」といった不安を抱えがちですが、マシンを利用することで無理のない範囲で姿勢や関節の動きをサポートしてもらえます。
マシンは負荷を細かく調整できる
マシンにはスプリングやバーなどがあり、それらの強さや位置を変えることで負荷を調整することが可能です。筋力の弱い部位をサポートしてくれる反面、慣れてきたら高めの負荷をかけてトレーニングを強化することもできるため、段階的にステップアップしやすいのが利点です。腰痛や膝の痛みを持つ方でも、自分に合った強度や可動域で安全に取り組みやすくなります。
マシンにが正しいフォームで動かすサポートをするため、より早く効果を実感しやすい
身体を正しいフォームで動かせるようサポートがあるため、インナーマッスルに正しくアプローチでき、結果的に効果を実感しやすいといわれています。とくに普段からデスクワークで姿勢が悪い方や、運動経験が少なく筋肉の使い方に自信がない方は、マシンを活用することで「体幹を意識しやすくなる」と感じるケースが多いようです。
代表的なマシンの種類
リフォーマー(Reformer)
スライド式の台(キャリッジ)にスプリングがついており、寝たり座ったりした状態で足や腕を押し引きしながら運動を行います。上下左右のバランスを取りつつ動くため、体幹を鍛えるのに効果的です。負荷の調整もしやすく、初心者から上級者まで幅広く使用されます
キャデラック(Cadillac)
ベッドのようなフレームにバーやロープ、スプリングが取り付けられ、ぶら下がる動作や引っ張る動作など、バラエティ豊かなエクササイズが可能。背中や肩まわりの柔軟性向上、骨盤周りのコントロール強化など、全身を使った多彩なメニューをこなせます。リハビリや痛みのある方にも適したアプローチができるため、医療機関やリハビリ施設で使われることもあります。
マットピラティスの特徴
一方、マットピラティスは床(マット)の上で、自重や小道具(ボール、ゴムバンドなど)を使いながら行うスタイルです。ヨガスタジオやフィットネスクラブのグループレッスンで行われることが多く、さらにオンライン動画や書籍を参考に、自宅で自主トレーニングとして取り組む方も増えています。
自重で行うマットピラティスのメリット
比較的低価格のレッスンが多くコスト面での負担が少ない
マシンのような専用器具を必要としないため、スタジオでも比較的低価格のレッスンが多い傾向にあります。月謝制や1回ごとのドロップイン料金など、通いやすいプランも豊富にそろっているのも魅力です。また、自宅で行う場合はマットさえ用意すれば、ほとんど追加費用がかかりません。
オンラインレッスンとの相性もよく、自宅でオンラインレッスンが選択可能
昨今はオンラインでの指導が充実しており、Zoomや動画配信サイトを活用したレッスンが容易に受けられます。忙しくてスタジオへ行く時間がとりづらい、近隣に教室がない、子育て中で外出が難しい、といった方でも気軽に取り組むことができるのです。
場所を選ばず、自宅でも旅行先でも行える
マシンピラティスは基本的にスタジオでのレッスンが中心ですが、マットピラティスなら自宅や旅行先でも続けやすいのがメリット。天候に左右されることもなく、空いた時間に少しずつエクササイズが行える点が「忙しい女性」にとって大きな魅力です。
マットピラティスを独学で行うリスクと注意点
ただし、マットピラティスは自分一人で行いやすい分、フォームが自己流になりやすいという課題があります。とくに初心者の方が独学のみで進めると、骨盤や背骨の位置がずれたままエクササイズを行い、腰や首に負担をかける可能性があります。
- フォームが崩れても気づきにくい
インストラクターから直接指導を受けない場合、誤った動きのクセが定着してしまうことがある。 - 効果が出にくいor痛みが出るリスク
本来はインナーマッスルを鍛えるはずが、アウターマッスルばかり使ってしまい、成果を感じづらい状況に陥る場合も。
このようなリスクを最小限にするには、最初のうちだけでもスタジオレッスンやオンラインのライブ指導を受け、フォームや呼吸の基本を習得すると安心です。その後は自宅での自主トレをメインにするなど、段階的に進めることで正しい動きを身につけられるでしょう。
マットピラティスとマシンピラティスの費用・効果・通いやすさ比較
ここでは、マシンピラティスとマットピラティスを「費用」「効果(実感の早さ)」「通いやすさ」の観点で比較してみます。
レッスン料金の相場
マシンピラティス
- プライベートレッスン:1回あたり5,000~10,000円程度が一般的。スタジオや地域によってはさらに高額になる場合もある。
- セミプライベートレッスン(2~3人):1回3,000~5,000円程度。個別指導に近い形でありながら少し割安。
- 月額制や回数券を利用すると少し費用を抑えられるが、マシンの維持コストが高いこともあり、全体的に割高の傾向。
マットピラティス
- グループレッスン:1回1,000~3,000円程度が目安。月謝制で月4回通うなどのプランも。
- オンラインレッスン:月額1,000~2,000円前後で受け放題のプランや、個別セッションも用意されている場合がある。
- プライベートレッスンだとマシンピラティスと同等かやや安い程度だが、スタジオによって差がある。
効果実感の早さとフォーム習得はマシンピラティスのほうが早い
- マシンピラティス
インストラクターがつきっきりでフォームを修正してくれるケースが多く、スプリングやバーが身体をガイドすることで、正しい動きを習得しやすいです。その分、早い段階で姿勢改善や痛み軽減などの効果を感じやすいとも言えます。 - マットピラティス
グループレッスンの大人数では、一人ひとりのフォームを細かく見るのが難しく、自己流になりやすいデメリットがあります。しかし、低コストと手軽さから頻度を高めやすいという利点も。オンラインや自宅練習を併用すれば、結果的にトレーニング回数を増やせるため、モチベーション次第で大きな効果を得る方も多いです。
マットピラティスのほうが通いやすく、自宅でも復習できるため習慣化しやすい
- マシンピラティス
スタジオ数は年々増えているものの、まだまだマットピラティスほど多いわけではありません。また、マシンの台数に限りがあるため、レッスンを受けられる枠も少なめ。人気の時間帯は予約が取りにくい場合があるので、ある程度スケジュールに余裕のある方に向いています。 - マットピラティス
フィットネスクラブやヨガスタジオ、カルチャースクールなど、さまざまな場所でクラスが開かれています。立地や時間帯の選択肢が広いため、仕事や家事の合間を縫ってでも通いやすいです。さらに自宅でオンラインレッスンを利用できるのも大きな強みになります。
初心者におすすめのマットピラティスとマシンピラティスおすすめの選び方
ここまでの比較を踏まえつつ、これからピラティスを始める初心者にとって、それぞれどのようなケースが最適かを簡潔にまとめます。
マシンピラティスから始めるのがおすすめな人
- 運動経験が少なく、腰痛や膝痛など不安がある方
怪我のリスクを減らしながら正しくインナーマッスルを鍛えるには、インストラクターの丁寧なサポートが欠かせません。マシンを使うことでフォームを補助してもらえ、身体に優しく取り組めます。 - 短期間で成果を感じたい方
マシンピラティスは正しい動きを習得しやすい分、早めに姿勢改善やボディラインの変化を実感しやすいです。挫折を防ぐためにも、効果の出やすさは大切なモチベーションになります。 - 予算にある程度の余裕がある方
レッスン料金は高めですが、その分プライベートや少人数制の手厚い指導を受けられます。仕事が忙しく通う頻度が限られる場合でも、質の高いレッスンで効率良く体づくりができるのは大きな魅力です。
マットピラティスから始めるのがおすすめな人
- 費用を抑え、気軽に試してみたい方
グループレッスンやオンラインレッスンなら、1回1,000円~2,000円程度で手軽に受けられます。まずはピラティスの雰囲気をつかみたい、というときにもおすすめです。 - 自宅や隙間時間を活用したい方
自重トレーニングなので場所を選ばず、マットさえあればどこでもエクササイズできます。通勤・通学前や仕事の休憩時間など、スキマ時間を上手に使いたい方に向いています。 - グループレッスンで仲間と一緒に頑張りたい方
多人数で行うクラスは、わいわい楽しい雰囲気や仲間同士の励ましがあり、運動自体のハードルが下がりやすいです。また、ママ友と一緒に通えばモチベーション維持にもつながります。
両方を組み合わせる方法
ピラティスに慣れてきたり、さらに深く学びたいと感じたりしたら、マシンピラティスとマットピラティスを併用するという選択肢もあります。それぞれの良さを活かすことで、より効果的に身体を整えることが可能です。
マシンで学んだフォームをマットに生かす
たとえば最初の1~2か月はマシンピラティスのプライベートレッスンで、骨盤の位置や背骨の正しい動かし方、呼吸のタイミングなどをしっかり学びます。すると自宅でのマットピラティスでも、身体のコツを理解した上で自主トレができるようになるため、成果が出やすくなるでしょう。
- 定期的にマシンレッスンへ行き、フォームの確認
独学で狂いが生じないように、1~2か月に1回はマシンレッスンでチェックを受ける - 自宅では動画を見ながらマットエクササイズ
自宅でもマットを広げ、短時間でも継続することで日々の筋力や柔軟性を維持
定期的にスタジオでチェックを受ける重要性
ピラティスは細かな姿勢調整が大切です。自己流になっていると、気づかないうちに腰を反りすぎていたり、肩をすくめてしまったりする可能性があります。定期的にスタジオへ行き、インストラクターが提供する客観的なアドバイスを受けることで、痛みやケガを回避しながらモチベーションも高く保てるでしょう。
- フォームが乱れ始める前に修正してもらう
「最近あまり効果を感じないな」と思ったら、動きの質が落ちているサインかもしれません。 - 新しいエクササイズを追加し、飽きずに続ける
ある程度慣れてきたら新しい動きを教わり、マンネリ化を防ぐことで長期的な継続が期待できます。
まとめ
マシンピラティスは、機器を使うことで正しいフォームを身につけやすく、効果を早期に実感しやすい反面、費用や通いやすさでハードルを感じる場合があります。腰痛や膝痛を抱えていたり、短期間でしっかりと成果を得たい方におすすめです。
マットピラティスは、手軽さや費用面での通いやすさが魅力。オンラインレッスンや自宅トレーニングとの相性が良く、ライフスタイルに合わせて柔軟に取り入れられます。ただし、フォームの乱れには注意が必要で、初心者のうちはインストラクターの指導があると安心です。
両方を組み合わせることで、それぞれの良さを活かしながら効率よくトレーニングが可能。最初はマシンで基礎を学び、マットで自主練習をするなど、工夫次第で効果を高められます。
忙しい毎日の中で、運動習慣を続けるのは簡単ではないかもしれません。でも、ピラティスは身体の土台を整え、姿勢や体幹を強化するメソッドとして、多くの女性から支持を集めています。自身の体調や予算、ライフスタイルに合わせてマシンかマットかを選び、「まずは体験レッスンに行ってみる」のはいかがでしょうか?
きっと、スタジオでのレッスンやインストラクターとのコミュニケーションを通じて、新しい気づきや喜びを得られるはずです。マシンピラティスでもマットピラティスでも、自分に合った続けやすいスタイルを見つけることで、日々の疲れやストレスも軽減され、笑顔あふれる毎日が手に入るでしょう。
ぜひこの機会にピラティスを体験し、理想の姿勢や健康な身体を目指してみてください。あなたにとって最適なピラティスライフが始まることを願っています。